神経の形態形成と精神疾患のお話
統合失調症は有病率約1%の最も深刻な精神疾患の1つであり、生涯にわたって生活の質が損なわれる疾患です。現在、統合失調症の治療薬は、薬効が不十分であること、また副作用に悩まされる患者が多くいることから、作用機序の異なる治療薬の開発が課題となっています。統合失調症患者の血液中の代謝産物を測定した結果、一部の患者で、健常者と比較し、ベタインの濃度が低下しているという研究成果が報告されています(Koike et al., 2014)。そこで、ベタインを補充することが治療に繋がると考え、統合失調症モデルマウスであるKIF3分子モーター ヘテロノックアウトマウスを用いた実験を行いました。
だらだら説明してもなんなんで簡単に説明すると、
酸化(カルボニル)ストレスがかかるとアクチン束化タンパク質であるCRMP2に異常な修飾が入る and/or KIF3によるCRMP2に輸送障害⇒アクチン束化能喪失⇒神経細胞発生初期段階に見られるラメリポディアのダイナミクスが軽減⇒微小管の異常な侵入⇒神経細胞の過剰分岐⇒脳神経回路網がおかしくなってしまう。
という流れです。そしてベタインという化合物がストレスを軽減させることによりアクチン束化タンパク質が正常となり改善するという内容です。
もうちょっと知りたい方は下記のURLにて↓
https://www.amed.go.jp/news/release_20210414-02.html
もっと知りたいor興味を持っていただけた方は論文読んでね↓
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211124721002850
雑誌名「Cell Reports」(電子版 35巻 2号、2021年4月13日)
論文タイトル「Betaine ameliorates schizophrenic traits by functionally compensating for KIF3-based CRMP2 transport」
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